はじめに

最初に「当ブログの注意点」をよく御覧ください。
アメブロもあります。「医師水野のアメブロ」

2016年6月11日土曜日

フェリチンって?

鉄関連、再び、です。
今回は鉄について掘り下げます。


関連するページ
「鉄欠乏について」





<一般的な現状> 


現代の日本の医療機関では、貧血さえなければ鉄は測りません。(保険適応の関係もあります)

また、「貧血のない鉄不足」でも症状が出る、という事は思ったこともない医療関係者がほとんどです。

逆に言えば、貧血があって初めて血清鉄を測ります。
その時でも血清鉄のみ測定し、フェリチンは測らない、なんていうのもザラにあります。 


<鉄不足の症状って?>

鉄不足の症状は、色々あります。
豊富な症例を経験している藤川先生が症状を挙げてくださっています。
私がアレコレ変えるよりこのままが伝わりやすいかと思います。


===以下、藤川先生の挙げてくださった症状の抜粋===
「いらいらしやすい、集中力低下」
「神経過敏、些細なことが気になる」
立ちくらみ、めまい、耳鳴り
偏頭痛
疲れ、節々の痛み(関節、、筋肉)、腰痛
喉の違和感(喉が詰まる)
冷え性
朝なかなか起きられない
出血(アザ)
コラーゲン劣化(肌、髪、爪、シミ)、ニキビ、肌荒れ
不妊
レストレスレッグス症候群(むずむず足症候群、RLS)
氷を食べる~これは非常に多い!
土を食べる
===以上、抜粋===

このように、鉄不足は弊害しかありません。



他にも
・癌になりやすい
・やせにくい、糖質オフしてもやせない
・炭水化物、甘いものが無性に欲しくなる
などの場合もあります。




鉄不足を解消することで、
やせはじめたり、
糖質オフが上手くいくようになる事があります。








では、鉄不足はどうやって判断するのでしょうか?

採血で判断します。

血算(血色素数=ヘモグロビン)、血清鉄、フェリチン、TIBC、CRPなどを測定します。




ここで、特に重要なフェリチンについて説明します。


<フェリチンについて>

血清鉄は分かりやすと思います。
血液中にある鉄です。
すぐ使える状態になっています。

一方、フェリチンは「貯蔵鉄」と呼ばれています。
鉄は大切なのでフェリチンという形にして蓄えています。


では、血液中のフェリチンが高ければ鉄の蓄えはしっかりある、と考えて良いのでしょうか?

答えはNOです。



フェリチンが高くても実は鉄の蓄えがない、なんていう時があります。





<鉄不足が心配!測って!>

前に書いた


をご参照ください。

5項目
・血算
・血清鉄(Fe)
・TIBC
・フェリチン
・CRP


をセットで測ってもらうと良いです。




<フェリチンが高くても鉄不足?!>


フェリチンは炎症や癌があると、炎症や癌で壊れた細胞の中から血液中に出てきて、実際は鉄不足なのに血液中のフェリチンの値だけ上昇します。 

フェリチンについてよく知らない医師だと、炎症や癌でのフェリチン値上昇でも「鉄が多すぎる」と判断してしまいます。 

ただし、癌でフェリチンが上がる場合は、癌がある程度大きいか、転移したりして広がっている場合です。 
初期の癌のような小さい癌では、フェリチンはあまり上がりません。 



鉄の蓄えが本当にあるかどうかは、
他の項目も同時に測ると判断の助けとなります。


血清鉄が低くないか、
TIBCまたはUIBCが増えてないか、
CRPが高くないか、
で判断します。 




<フェリチン高値の時の鉄欠乏について>


フェリチンが高くても鉄欠乏があるのは下記のような場合です。

・CRPが高い(=炎症アリ)
・血清鉄が低い
・TIBCまたはUIBCが高い

なお、TIBCとUIBCは、保険診療では、どちらか一方しか同時には測れません。 



TIBCとUIBCは、鉄を運ぶ蛋白質の能力を見るものです。

TIBCやUIBCが上がる時は鉄が足りなくて、それを何とかカバーしようと鉄を運ぶ蛋白質だけでも増やしている状態です。なので数値が高ければ鉄欠乏があります。 


CRPが高いときも上記の通り、炎症があるためフェリチンは増えます。この場合は、フェリチンは鉄欠乏かどうかの判断に全く関係なくなってしまいます。 
なので、血清鉄や、TIBCまたはUIBCで、鉄欠乏を判断します。 






<鉄欠乏があった場合は?>

鉄不足があった場合に、鉄を補充する以外にもすることがあります。


鉄欠乏がある場合は、何らかの原因があります。

・体内に入るのが少ない
・体内から出て行ってしまう

の2パターンです。



体内に入るのが少ない、というのは菜食の方などです。



体内から出て行ってしまうのは
体調に問題がない人であれば
胃腸からの場合が多いです。

大雑把に言えば、このような病気です。
胃の病気:胃潰瘍、胃ポリープ、胃癌など
腸の病気:大腸ポリープ、大腸癌、大腸憩室など

ですので、
鉄欠乏が見つかった場合、
必ず便潜血検査を受けるのがお勧めです。




また女性の場合は、別な可能性もあります。
・生理の出血が多い
・子宮筋腫がある
などの場合です。


鉄欠乏が見つかった女性の皆様は
ぜひ婦人科で診てもらいましょう。




ちなみに子宮ガン検診と言った場合は「子宮頸がん検診」を指す事がほとんどです。

この場合、子宮の下の方のみの検査で、子宮筋腫があるかはチェックされません。

子宮体がん検診を受けた、という場合は子宮筋腫もチェックされます。





<鉄剤の保険適用について>

さて、薬を医療保険を使って処方するには「保険適用」というものがあります。

鉄剤の保険適用は、すべて「鉄欠乏性貧血」です。 

貧血がない時点で、鉄剤の保険適用での処方はできません。

なので、自費=自由診療=「薬代は3割負担ではなく10割負担」、ということになります。 

とはいえ、鉄剤は一錠、9.7円とかなので、1ヶ月分でも、300円しかしません。
フェルムという鉄剤であれば、1日1カプセルが基本の飲み方です。 

鉄剤は種類が色々ありますが、お勧めは胃腸障害がダントツに少ない、フェルムカプセルです。 




<どのくらいの量の鉄剤を飲むか?>

出血がある場合、鉄剤を飲んでもフェリチンが上がらないことが良くあります。 

藤川先生の症例報告が分かりやすいです。

なので、フェルム内服して、1〜3ヶ月後に採血してフェリチンをまた測ってもらい、増えてない場合は、1日2カプセルに増やしてもらうと良いです。 
私の外来で、多い人は1日3カプセルの人もいます。 




<どのくらいの期間、鉄剤を飲むか?>

出血が続く限り鉄剤が必要になる場合が多いです。 
フェリチンが100以上になるのが目標です。 
100を超えて鉄剤をやめると、また下がる人が多いため、下がった場合は鉄剤を再開します。 
内服の鉄剤では、ほとんど鉄が過剰になることはありません。 
鉄剤は胃がムカムカする、という副作用が多いですが、フェルムならほとんどありません。 
ですので、副作用は気にする必要もありません。 
フェリチンは貯蔵鉄の事です。貯えの鉄分ですので、すぐ上がる血清鉄とは違い、数ヶ月単位でしか変わりません。 
鉄剤の内服は半年~1年単位で考えます。 




<日本のフェリチン基準値の異常>

男性フェリチンの基準値は100~300くらいです。 
しかし、日本では、女性のフェリチンの基準値が何と4~90くらいとなってしまっています。これは、基準値であっても、「健康な数値」ではありません。 
普通っぽい人を集めて95%の人がおさまる範囲を基準値とします。日本では、女性がほとんどの人が鉄不足なので、基準値も不当に低くなっています。 
男性の基準値が、本来の人間の健康的なフェリチンの範囲です。 

欧米ではフェリチン100以下は鉄欠乏とされます。
フェリチンは女性であっても、100以上にするのがお勧めです。



<さらに学びたい方へ>

下の藤川先生の投稿に鉄不足の現状が載っています。 

藤川先生、鉄について基礎的な知識
藤川先生、復習、日本人女性の鉄不足

藤川先生は、facebook上で他にも色々書いていらっしゃいます。
勉強になります。


以上、鉄について、第二弾でした。




0 件のコメント:

コメントを投稿