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2015年7月9日木曜日

インスリンと現代社会

今回は

インスリンとそれを取り巻く環境について。




まず、

インスリンは一部の患者さんや、病態では必須です。

インスリンを投与しないと命に関わる場合があります。

たとえば1型糖尿病を完全に発症している方。
インスリンの注射なしでは半年で死亡してしまいます。

また2型であっても、急性増悪期にはインスリンで速やかに血糖値を正常化する必要があります。
全身の代謝が障害されるためです。
糖尿病性ケトアシドーシスなどがその病態です。

下記参照を。
メルクマニュアル「糖尿病性ケトアシドーシス」

その他、手術前で早急な血糖値コントロールが必要な場合など、インスリンが欠かせない場面があります。

インスリンの注射薬自体は、画期的なものでした。

インスリンは、今後も医療には欠かせません。




インスリンがいらない人って?


問題はインスリンが必要がない方にも投与されている現状です。


どのくらい必要なくなるかは、下記を参照ください。

過去の糖尿病治療結果


つまり、2型糖尿病であって膵臓のインスリン分泌能が残っており、食事療法や薬剤選択をきちんとすれば、ほとんどの方でインスリンは不要となります。

私も糖質制限に出会うまで、また、ACOORD試験の結果を知るまでは
「早期にインスリンを導入して、膵臓を休めましょう」
といった治療をしていました。

それが良いと信じて、どんどんインスリン導入をしていました。

全国でもまだまだ大多数を占める治療法です。

ACCORD試験については江部先生のブログを参照ください。

ACCORD試験の死亡リスクと低血糖とSMBGサブ解析2011
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1741.html



インスリンの害って?

1型糖尿病の患者さんが全て半年で死亡していた状態から何年も生きられるようになり、重症の高血糖から患者さんを救ってくれた、素晴らしいインスリン製剤。


ですが、素晴らしい効果がある一方で、次第にインスリンについて色々な事が分かってきています。副作用のない薬はないのです。



インスリンを打つと太ります。
まさにホルモンの作用です。
吸収したエネルギーを脂肪細胞に蓄えるのがインスリンのメインの作用の1つです。



高インスリン血症はある種の癌に関係すると言われています。
発癌リスクが高まるというわけです。
(もちろん全ての癌に関係があるとは言われていません)

例えば大腸癌などです。これも江部先生のブログをご参照ください。

高インスリン血症と高血糖と発がんリスク
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1719.html



インスリンがアルツハイマー型認知症のリスクを高めるという話もあります。
アルツハイマーの原因物質であるβアミロイドを分解しづらくなるから、という事です。

詳細は、これまた江部先生ブログを。
アルツハイマー病と糖尿病
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-602.html



また、インスリンによって臓器障害が引き起こされる、という説も出てきました。
血糖値が良くても眼底出血する場合などは、高インスリン血症が存在する、というものです。




今後の治療は?


このように、インスリンについては色々な事が分かってきました。

それらから学べる事は

「インスリンは少なければ少ない程、良い」

という事です。

もちろん、繰り返しますが、必要な時には体外から注射が必要です





従来は血糖値だけが注目されていました。血糖値さえ低ければOKでした。



しかし、今後は、

「いかにインスリンを少なくて済むようにするか?」

に主眼を置くべき時代になってきました。



その具体的な治療法は、「インスリン分泌抑制法」の所で記載しています。





医師はなぜインスリンの害についてあまり知らないの?


医師はあまりインスリンの害について知りません。

「良かれ」と思って処方します。

未だに全国で「インスリンを早期に導入しましょう!」となっています。



すべて「良かれ」と思って、熱心に指導しているのです。

結果、インスリンの害を受けたり、低血糖で救急搬送されたりします。



「良かれ」と思ってしたことが、結果として「良くない」。

これを「善意の不善」と私は呼んでいます。


善意の不善の場合、それをした人を責めても仕方ありません。
その人はベストを尽くしているのです。
ただ、知らなかっただけなのです。


分かります。
医療事故だ、従来の治療法の犠牲になった、医師は信用できない、などなど。
良くなる方法があったのに、という思いは浮かぶと思います。


ですが、それを言っていても何も良くなりません。
それどころか、自分から敵を作ることになります


知りさえすれば、味方になったかもしれない人さえも、敵になってしまいます。
結果、どんどん人間不信になるなど、負の連鎖になるだけです。


忘れましょう。

そんなくだらない事は忘れましょう。


前を向きましょう。
現在に集中して、今にベストを尽くしましょう


批判を控えて、現実をあるがままに受け止めるようにすれば、逆に味方が増えます
そして、ストレスは減ります。



さて、話を戻します。

医師がこのような「インスリンの害」などを知らないのは原因があります。

医師の情報源です。



医師の情報源って?


ほとんどの医師の情報源は下記の3つです。
・製薬会社の営業さん(MRさん)
・製薬会社がスポンサーについている学会
・製薬会社がスポンサーについている論文



あれ、製薬会社が大元なの?

それも早計です。

組織の目的は存続することです。

製薬会社が自社の薬剤を売ることに全力を尽くすのは当たり前です。

そうでなければ、倒産します。

組織とはそういうものなのです。


であれば、基本的に製薬会社からは製剤のメリットをメインに情報提供される事になります。

これも至極当然です。

売りたいもののデメリットばかり宣伝する営業マンはいません。


つまり、こうです。

インスリンは早期導入を。 膵臓を休ませられます。

インクレチン製剤(DPP4阻害薬)は膵臓保護作用があり、低血糖を起こさずHbA1cを下げる。


基本、これしか情報が入ってきません。

ですので、未だに気づいていない医師が大半です。


また論文・学会の偏重主義のため、現場の患者さんから学ぶことを忘れた医師もいます。

実際に自分の診ている患者さんが、糖質制限で良くなっていても、逆に「学会の推奨していない食事療法をするなど、けしからん!」と怒り出す医師の話は良く聞きます。



最初から教育されます

これは、医師になる前も同じです。
情報源の圧倒的な狭さは、同じです。

医学生を教育する先生の情報源もやはり同じで、MRさん・学会・論文(製薬会社がスポンサー)です。

その先生に教えを受けた医学生は、医師になる前の学生時代から、この洗礼を受けています。

そしてそれがスタンダードとなっています。
スタンダードな事をしている限りは、誰からも責められることは基本的にありません。



たまたまネットなどで調べたり、身近の話を聞いた医師・医学生だけが気づくのです。

学会とMR以外の情報源がある医師だけが、気付くのです。


心ある医師は気づくわけです。
ある日、患者さんを見ていると、「おかしい」と思う訳です。
そして、ある時、ネット等で調べると気づきます。

あれ?これ、今の標準的な治療法、おかしくないか?と。



MRさんが良くないの?

いいえ。
MRさん達は非常にがんばっています。
誠実なMRさんは製剤のデメリットや副作用などもキッチリ説明してくれます。

悪意などないのです。

たとえば、MRさんも社員教育では、インスリンの害なんて全く教わりません
やはり、良かれと思って営業しているのです。

それどころか、MRさんがいなければ新しい製剤などの事も情報が入りにくくなります。




では何が?

誰かが悪い、というものではないのです。

社会の仕組みの問題です。



皆それぞれがベストを尽くしているのです。


製薬会社も良い製剤を作ろうと必死です。
昨今では合併吸収などが当たり前の厳しい世界になってきました。


MRさんもベストを尽くしています。
本当にがんばってらっしゃいます。


医師も良い治療をなるべくしようとしてます。
儲けに走る医師は、ほんの一部です。
ほとんどの医師は誠実に治療をしています。



仕組みが問題です。




批判しても敵を作るだけです。
批判した相手から、感情的に反対されます。


怒りは、同様の反発を生みます。
糖質制限の普及の妨げとなるだけです。


インスリンの害も冷静に広めるべきです。
相手に悪意はないのです。
ただ、知らないだけです。


責める気持ちなしで説明すれば、味方になってくれます。


批判は終わりにしましょう。 
味方を作りましょう。 
社会の仕組みを変えましょう。 


誰かが悪い訳ではありません。
仕組みを変えるべきです。





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