はじめに

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2015年7月19日日曜日

インスリンと消化吸収

今回は複合テーマです。


インスリンと消化吸収について。




1.インスリンの分泌調整について


インスリンは基本的には血糖値の上昇によって、調整されます。

俗に「見ただけでインスリンが分泌される」と言われますが、根拠はありません


江部先生の下記ブログでも「ありえません」と記載されています。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-1219.html


=====以下、引用=====
さてご質問ですね。
「① 甘いものを見るだけでインスリンが分泌される。」
 これはありえません。そんなことがあれば、低血糖になります。
=====以上、引用=====





ただし、神経からの調整は受けます。

迷走神経が興奮した場合には、インスリンが分泌されます。

同、江部先生のブログに記載があります。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2430.html


=====以下、引用=====
インスリン分泌は、神経系も影響し、とくに迷走神経は食物の摂取により緊張し、GLP-1やインスリンを分泌させます。
=====以上、引用=====





2.糖質が消化に良くないというエビデンス


これはエビデンスも何も一目瞭然です。
私達内科医がよく経験しています。

当ブログでも取り上げています。


内視鏡写真を見ると、まさに「百聞は一見にしかず」です。

コメ・メン・パンは、かなり胃内に残ります






また糖を摂取すると「糖反射」が起きます。
すぐに胃の動きが抑えられてしまうのです。

詳細はコチラを参照してください。
消化に良いもの?







3.「糖質は速やかに吸収される」、について。

よく引用されるものに、「米国糖尿病協会(ADA)の患者教育用のテキストブックLife With Diabetes(2004年版)」があります。


=====以下、引用=====
摂取後直接、血糖に変わるのは糖質のみである。

糖質は速やかに吸収され、直接100%血糖に変わり、ほぼ120分以内に吸収は終了する。
蛋白質・脂質は、摂取後、直接血糖に影響を及ぼすことはない。

「炭水化物・タンパク質・脂肪はカロリーを含有している。炭水化物だけが、血糖値に直接影響を及ぼす。」
=====以上、引用=====




この中の「糖質は速やかに吸収」について説明です。


例えば、液体の糖質(ジュース)は摂取して、5分で血糖値が上がり始め、30分するとほぼ全て血糖になります。


これは「すみやかに血糖値が上がる」と言えます。



しかし、通常の食事に含まれる糖質は、摂取して30分してやっと血糖となってきます。

「消化が終わった後」に、小腸の壁から吸収されるのは「速やか」です。


通常の米飯より、お粥の方が消化・吸収は多少は早いです。




唾液のアミラーゼで消化?

また、唾液アミラーゼで糖質を分解すればする程、あとの消化・吸収は早くなります。

ガッチリ口だけで消化するなら、30口ではなく、30分くらい噛んでいればかなり口内でも消化できる、という事です。顎が疲れそうです。

私達は、普段からあまり噛まずに飲み込んでいるため、口内ではあまり消化はされていません。




胃の中に残っている?

また、120分でほぼ吸収が終了する、というのと、実際に胃の中に残っている、というのは前提の違いです。


胃の動きはいつも一定というわけではありません。また、食べる量も毎回違います。


米だけと、米と油一緒でも違ってきます。油と混ざると消化しづらくなります。

私達は実際の生活では、米の量が多かったり、胃の調子がイマイチだったり、他にアレコレ食べたりします。

ですので、120分経っても、胃内に炭水化物が残っていることはよくあります





<おまけ編>
どうやって腸は糖を体内に取り込んでいるのか?


こちらは、ややマニアック編です。

医師であっても、基礎医学的な事が好きな人だけが知っている内容です。

はい、私は医学生の頃から「マニアック水野」として有名でした(笑)



人体は糖などを取り込むためにNa(ナトリウム)イオンを使って共輸送しています。

Naイオンは、塩の片割れですね。
Na(ナトリウム)と、Cl(塩素)がくっついて、塩化ナトリウム=塩です。


「共輸送」というのは、細胞の壁を越えるための手段です。
細胞の中に取り込みにくいものと、取り込みやすいものをセットで取り込む方法です。


糖質は通常では細胞の壁を越えて体内に入る事はできません。
ですので、Naイオンを使って、一緒に小腸の細胞壁の中に取り込みます。



では、その腸の中のNaイオンはどこからくるか?

Naイオンは消化液として分泌して、腸管内での濃度を高めているのです。
人体は色々していますね。


ですので、Naイオンがあって、初めて糖が吸収できます。
これはそうやって糖を腸管の壁を越えて吸収させるためです。
共輸送なので、Naイオンと糖の両方がないと吸収されません。

ただし、Naイオンは他のものを取り込むのにも使われています。
Naイオン、大活躍です。


詳しくは下記サイトで書いてあります。
http://kikkenlab.blog.fc2.com/blog-entry-17.html





という事で、色々と疑問に思われがちな事をまとめてみました。





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