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2015年6月19日金曜日

経管栄養での糖質制限

経管栄養で糖質制限ができるか?というテーマについて書きます。





今は色々な意見のある経管栄養。
そもそも経管栄養をすべきでない、という意見の方も多いことでしょう。
ですが延命でない経管栄養というのもあります。

まずは経管栄養の方法について。

経管栄養には方法が2種類あります。

1.経鼻胃管

1つ目は経鼻胃管。これは鼻から胃に管を入れて、流動食的なものを管から投与する方法です。

例えば、若い方で交通事故にあって意識があまりない時なども経鼻胃管が行われたりします。こういう場合、一時的な経管栄養ですので延命には当たりません。その後、意識が戻れば食事が再開できます。


2.胃瘻・腸瘻(いろう・ちょうろう)

もう1つは胃瘻(PEG:ペグ)や腸瘻です。皮膚から胃や腸まで穴(瘻孔)を作り、そこから管を入れて、流動食的なものを投与する方法です。他にもPTEG(ピーテグ)等ありますが、ほとんど見かけません。



経管栄養の予習復習が済んだ所で本題です。

経管栄養で糖質制限はできるのか?


さて、何らかの経緯で、経管栄養になってしまった時に糖質制限ができるか。

一般的な経管栄養に使うものは、炭水化物6割です。
旧来の栄養のガイドライン通りです。
ぜんぜん糖質制限ではありません。
ほとんどが炭水化物6割です。ガッツリ糖質です。


糖質ゼロの経管栄養はあるか?

現在はありません。


では、一番少ないものは?

プルモケアというものがあります。
他が炭水化物6割の中、これは炭水化物が約3割です。

詳しい組成はこちら。

1缶250mLで
エネルギーが375kcal
炭水化物が26.4g
と、少し糖質20gをオーバーです。

が、他の炭水化物6割のもので言うと、この倍は糖が入っている感じです。

ちなみに個人でも購入可能です。
ですので、患者さんの中にはこれを自己購入して、食欲がない時に飲んでいるという方もいました。


ちなみに、元々の開発目的はプルモケアという名前の通り、
「プルモ」は「pulmonary(肺の)」、
「ケア」はそのまま「care」で、
呼吸不全がある用の経管栄養剤でした。



となれば、(医療関係者でなければ)こう思うハズです。

え、何で炭水化物が少ないのが肺のケアになるの?

炭水化物は代謝すると二酸化炭素と水になります。
C(炭素)とH(水素)とO(酸素)ですので、
CO2(二酸化炭素)とH2O(水)になる、という訳です。


呼吸不全がある方は、この二酸化炭素が体にたまって体が酸性になってしまい代謝が上手く出来なくなってしまいます。炭酸ガスの「酸」で酸性、ということです。

これを呼吸性アシドーシスと言い、その他もろもろとややこしくて医学生がテストで泣くポイントです。


この「二酸化炭素がいっぱい状態」を防ぐために炭水化物少なめにしたのが、このプルモケアです。


ですので、プルモケアは炭水化物が旧来のガイドラインとは違い3割程度なのです。

現状ではこれが最も少なく、他はほとんど炭水化物6割です。

意外にも、大きい病院では大体院内採用している結構メジャーな経管栄養です。この名前を知らない医師は勉強不足です。



糖尿病の患者さんの場合、炭水化物6割の経管栄養から、このプルモケアに変更するだけで血糖値が下がります。


他にも糖尿病対策として食物繊維が入ったものなどがあります。一般的には糖尿病といえばそちらが使われます。

当然ながら、そちらも実際に使った経験がありますが、あまり血糖値は変わりませんでした。白米と玄米との関係に似ていますね。糖質の量自体が大切なのです。


糖質ゼロの経管栄養、ぜひ発売して欲しいですね。



コストについて追記します。

経管栄養のコスト、違いがあるの?

一般的に「処方箋」で出される経管栄養剤は「エンシュア・リキッド」、「エンシュア・H」、「エネーボ」があります。これらは「お薬扱い」ですので、医師が薬として処方します。ですので、保険が効き、3割負担や1割負担となります。

つまり、お安いのです。
ですが、炭水化物は6割です。

一方、上記の「プルモケアEX」は「食品扱い」です。
医師の処方箋では出ませんし、お薬扱いのものと違って、全額自己負担です(10割負担)。
つまり、上記のエンシュアなどの3倍ほどの値段となります。

お薬扱いの低炭水化物の経管栄養剤が発売されると、もう少し普及しやすくなります。

ですが、作る側の製薬会社としては、「お薬扱い」の方が格段に申請などの労力やコストがかかるので、なかなか「お薬扱い」の経管栄養剤は増えない、という現状です。





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