はじめに

最初に「当ブログの注意点」をよく御覧ください。
アメブロもあります。「医師水野のアメブロ」

2015年6月10日水曜日

糖質制限、禁忌と注意

今回は糖質制限の禁忌について。


すべての人によい単一の食事療法はありません。
万能に近い糖質制限でも、例外ではありません。






糖質制限の禁忌となる疾患があります。
もちろん一律にダメという訳ではないですが、糖質制限の理解のある主治医とよく相談する必要があります。

糖質制限に理解のない主治医と相談すると、鼻で笑われるだけですので、主治医を変えましょう。

1.禁忌その1:非代償性肝硬変

肝硬変の末期的状態です。
肝臓がダメになり各種栄養が使えない状態です。
この時に糖質制限をするとどうなるか?

血糖値を最低限保つのには「糖新生」といって蛋白質から血糖を作る事が「肝臓で」行われます。

しかし、非代償性肝硬変では肝機能が落ちているため、この糖新生がうまくいかない時があります。この場合は低血糖となるので、糖質制限は禁忌となります。

もちろん、肝硬変もこういった末期状態でなければ糖質制限が可能な事がほとんどです。

糖質制限の理解のある主治医とよく相談しましょう。



2.禁忌その2:活動性膵炎

膵炎で炎症がまっさかりな状態です。
治療は食事を全面的に禁止し、膵臓の炎症をとめる点滴をします。

治ったかな、と思って食事を始めるだけで、すぐに炎症がまた再燃して、食事なし点滴状態にもどったりもします。膵炎は大変やっかいで長引く病気です。

食事を止めるくらいですので、糖質制限というか経口摂取自体がアウトです。

少し治ってきたかな、くらいの時でも「脂質」を摂取すると、膵液が分泌され、その膵液で自分の膵臓が溶けるのでやはりアウトです。

一旦、しっかり治しましょう。
食事も「膵臓食」として出されるものを食べましょう。
しばらくは脂肪分は禁止です。

この考え方もそのうち変わるかもしれませんが、現状ではこの治療法が世界のスタンダードです。

膵炎も慢性期になり炎症もはっきりしない、そんな時には糖質制限が可能な事がほとんどです。ですが、やはりデリケートな病気ですので、糖質制限に理解のあり膵炎をよく見ている主治医とよく相談しましょう。

糖質制限に理解があっても膵炎への理解や経験がない医師だとコントロールができない可能性があります。膵炎の場合は、しっかりした内科医、消化器医に相談しましょう。


3.禁忌その3、長鎖脂肪酸代謝異常

まれな病気です。
小児期から症状を発症することが多いです。
難病に指定されており、毎年10〜50人の新規患者があります。

L-カルニチンの補充などで治療されます。

これは脂質が使えない、という疾患ですので、糖質をおさえて脂質を摂るという糖質制限の禁忌となるわけです。

詳細は難病情報センターに載っています。


以上が禁忌でした。


次に注意すべき状態について。


4.糖質制限で注意が必要な場合

糖尿病で低血糖を起こすような薬剤を飲んでいる、またはインスリンを注射している方は絶対に自己判断で糖質制限を開始しないでください

低血糖で倒れ、最悪の場合は死に至ります。
(糖質制限ではなくインスリンでですが)低血糖性昏睡で植物状態になった方を何例も診ています。脳梗塞になった方のような症状になります。


インスリンは血糖値を無理矢理下げる作用があるので、低血糖になってもどんどん血糖値が下がります。糖質制限をしていると、本当に以前よりも血糖値が上がらなくなるので、そこで以前のようにインスリンを打つと必ず低血糖になります。

糖質制限の理解があり、インスリン増減の経験豊富な医師にかかってください。
糖質制限をしていてインスリンを増減するのは大変難しいです。
(欧米にはカーボカウントという考え方が普及していますが、日本ではまだまだです)


また内服薬はSU剤が最も低血糖になります。アマリール(グリメピリド)、ダオニール(オイグルコン、グリベンクラミド)、グリミクロン(グリクラジド)などです。

インスリン並みに血糖値をどんどん無理矢理下げますので、血糖値が上がらない糖質制限をそのまますると低血糖で倒れます。何なら糖質制限をしていなくても、低血糖で倒れる薬です。

私の祖母は糖質制限はしていませんでしたが、意識不明となり救急搬送された事がありました。たまたまその時に実家に帰って居合わせたので救急車に同乗しました。そしたら、このSU剤を発見。すぐに低血糖発作と分かりました。

SU剤自体がすでに時代遅れの薬となってきています。何らかの理由でどうしても処方するとしても、アマリール(グリメピリド)くらいです。ほぼ私は処方しません。低血糖のリスクが高いですし、膵臓に負荷をかけますし、高インスリン血症にもなります。


SU剤が処方されている皆さんも、すぐに主治医を変えましょう。
糖質制限に理解のある医師にかかりましょう。
間違いなく今後の治療効果が変わります。
場合によっては人生が変わります。


今は患者さんが大学病院・専門医から逃げてくる時代です。
インスリンを打てと言われた、ネットで探して先生の所に来ました、そういう時代です。
そうして未来を切り開くのです。

以上、禁忌と注意でした。





0 件のコメント:

コメントを投稿