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2015年6月15日月曜日

鉄欠乏について

今回は、鉄欠乏について。





糖質制限あるある、の「食後に満たされない!」のページでも取り上げた鉄欠乏について、です。


またこの投稿には続編もあります。
「フェリチンって?」





1.鉄欠乏って?!


鉄欠乏による貧血は、男性の約1%女性の約10%に見られるという数値があります。
かなり多い数値です。

女性の約10%なんて、相当な数値です。



症状としては、下記のようなものがあります。
貧血症状、異味症、さじ状爪(spoon nail)、舌乳頭萎縮、口角炎、嚥下障害、
頭痛易疲労性全身倦怠感、体動時の動悸息切れ、失神。

特殊な症状として、氷や土などを食べる異食症(pica)。


こういう症状、見た事ないですか?
頭痛、息切れ、疲れやすい、ダルいといった症状です。


これで外来を受診された方は鉄欠乏を疑います。

さらに異食症は特徴的です。
エネルギーのない、しかもちょっと変わったものを食べたくなるという症状です。
鉄パイプに噛み付きたくなる、という方をみたこともあります。
氷が一番メジャーです。
氷をガリガリ一年中食べたくなる、という人は鉄欠乏の可能性があります。




2.鉄欠乏で精神症状が!?


そして鉄欠乏から「うつ病」様症状、パニックなどの精神症状を起こす方がいます。

さらに鉄欠乏はあるのに「貧血」がない方もいます。
これが分かりにくい。

基本的に鉄欠乏を疑うのは「貧血」があるか、「異食症」のような特徴的な症状がある時です。ただダルい、頭痛がする、疲れやすいなどではあまり測定されません。


ですが、このような鉄欠乏からの精神症状や異食症、異味性などに鉄分を補給すると驚くほど症状がおさまるか、消えてしまいます


私も何例も経験しました。
患者さんの表情も会うたびに明るくなります。
治っていくのがものすごく実感できます。
そう、たった1つの事、「鉄を補充」するだけで。
貧血がないのに、とすごく意外でした。



3.貧血がなくて鉄欠乏が?

貧血がなくても鉄欠乏はあるのです。
言われてみればそりゃそうだ、ですが、通常「鉄欠乏かどうか」を検査するのは貧血時です。

貧血はないのに、「うつ」や「パニック」様の症状がある方で鉄欠乏があるという場合はあります。


血清鉄もあまり低くなく、フェリチン値(貯蔵鉄)のみが20〜30と低めという場合でも、鉄剤によってフェリチン値を高くすると精神症状が改善する場合もあります。


鉄分は非常に大切なので、手持ちの現金(血清鉄)に加えて貯金分もあります。これがフェリチン(貯蔵鉄)です。この銀行預金に相当するフェリチン値が低値なだけでも精神症状が現れる方がいるのです。


内科、精神科の医師の皆様、精神症状に悩む方へ

貧血がなくても、血清鉄が低くなくても、フェリチン値低値で症状が出る場合があります。ぜひ、血清鉄、TIBC、フェリチン値を測定してください。



人生が変わる可能性すらあると思います。

鉄補充を開始してから「大声で叫ぶ」などのパニック的は精神発作が全然起こらなくなった方もいました。動くとすぐ息切れ、という症状から開放された方もいました。外出できず精神科の通院すらままならない方が、外出できる様になった方もいました。

鉄欠乏があった場合だけですが、その場合は鉄補充の効果は劇的です。


鉄欠乏があった場合は本当に著効します。
長年の症状も、あっさり良くなります。



もちろん、鉄欠乏があった場合は「なぜ鉄欠乏になったか?」も重要ですので、鉄補充と一緒に精密検査を受けましょう。婦人科疾患(子宮筋腫など)、消化管出血(胃や大腸からの出血)が多いです。


また、鉄欠乏がないのに鉄補充をした場合は、鉄過剰症を引き起こす可能性があります。鉄の慢性中毒のようなものです。肝臓がやられたりします(ヘモジデローシス、ヘモクロマトーシスなど)。

鉄補充は必ず医療機関で鉄などを検査してもらってからにしましょう。



追補:もし医師が測定してくれなかったら?

頑固な内科医だと「貧血がなければ鉄は測る必要はない!」と強弁される可能性はあります。おそらく、フェリチン値低値だけでも症状が出る、という症例を経験したことがないのでしょう。

大抵の内科医は普通に測ってくれると思います。
食欲が〜、ではなく「氷とかカロリーのないものが食べたくなるんです」が鉄欠乏を疑うキーワード(異食症の症状)なので、これらを出せば測ってくれます。他に、ダルい、疲れやすい、味がおかしいなども特徴的症状です。

血清鉄だけでなく、TIBCフェリチン必ずセットで測ってもらうのが肝要です。できればCRPも測ってもらいましょう。





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